エチオピアコーヒーの構造とサプライチェーン

Ethiopian Coffee


エチオピアコーヒーの構造とサプライチェーン


ノルディック・アプローチ(オスロに本社を置く生豆卸業者)を通して購入するエチオピアのコーヒーは、彼らが長い年月を経て信頼関係を築いてきた農協や、個人農家との直接の取引、そしてECX (Ethiopian Commodity Exchange)を通して輸出業者にコーヒーを卸す、個人経営のウォッシングステーションからによるものでした。

そして2017年、システムと規則が変更され、現在は個人経営のウォッシングステーションからもコーヒー豆を直接購入することが可能になりました。
我々と関わりのあるウォッシングステーションは全て、周辺の数百もの小規模農家から直接コーヒーチェリーを購入しています。
つまり、一つのロットのコーヒーの中には、数百もの生産者のコーヒーチェリーが入っているということになります。
周辺の小規模農家は、主に原種(Ethiopian Heirloom)を栽培しています。
それぞれの農家が収穫したコーヒー豆は、その日のうちにウォッシングステーションへと届けられ、日付と等級のタグがつけられます。
コーヒー豆は伝統的なフルウォッシュド、エコパルプ(ミューシレージまで除去できる機械を使用)、またはナチュラル精製で処理されています。
農協のコーヒーは統括団体の協同組合と、そしてエチオピアの農協で取引される全てのコーヒーに関わるマーケターや輸出業者によって直接取引されます。
個人経営のウォッシングステーションからのコーヒーはここ数年、ECX (Ethiopian commodity exchange) を通して取引されてきました。
これらのコーヒーはノルディック・アプローチが現地でいくつものカッピング繰り返し、純粋にフレーバープロファイルと個性を基準に選別されています。
2017年には、協同組合に入っていない個人経営のウォッシングステーションが、輸入業者に直接販売することが可能になりました。
この完全公開により、100%どこで生産されたのか追跡可能になりました。
今後、この事がどのように市場に影響していくか、現時点では予測不可能ですが、我々ロースター、そして生産者や輸出業者にとっても、良いことであることは確かです。


エチオピアの生産者


エチオピアの生産者は主に小さな農園を営む家族経営です。
平均的な農家の農園は1ヘクタールにも及びません。
ほとんどのコーヒーは有機栽培で、主に有機肥料が一般的であり、剪定はあまり行われません。
農家は通常1ヘクタールに1500本以下のコーヒーの木を育てており、1本の木にはおよそ100〜200グラムのグリーンコーヒーに相当するチェリーが実ります。



コーポレイティブ(農協)の仕組み


コーポレイティブ(農協)はコーヒーを追跡可能な商品として販売することが可能であり、またECXを通らないコーヒー豆であっても、必ずコーポレイティブユニオン(協同組合)を通して販売されます。
例えば、LimuのコーヒーはLimu協同組合から、OromiaはOromia協同組合から、SidamaはSidama協同組合から、のようにそれぞれのエリアごとの協同組合によって販売及び輸出されます。



農協のコーヒーとサプライチェーン


家族経営の小規模農家は収穫した少量のコーヒーチェリーをコレクションサイト(市場)、もしくは直接ウォッシングステーションのどちらかに販売できます。
農家は農協または個人経営のウォッシングステーションから、より高値で購入してくれるウォッシングステーションを自由に選んで取引することができます。
生産者はその日の相場により決定した価格を元に支払いを受けます。
コーヒーが高額で買い取られた多くの場合、農協からはセカンドペイメント(配当金)が支払われます。

農協のウォッシングステーションはグレード1&2などの高級な豆を生産する為にフローテーションやスクリーニングを行い、また手作業による欠点豆の除去など、徹底した選別を行っています。
水源の時期や状況によりウォッシュド、もしくはナチュラル精製で処理されます。
農協のウォッシングステーションは地域のECX取引所にドライパーチメントを届け、そこで豆は等級分けされます。
物理的な品質の差やフレーバープロファイルによりグレード1〜5に分けられます。
協同組合を通してバイヤーに販売される前に生産地と品質のラベルが付けられます。
等級分けの後にコーヒーはAddis Ababa、もしくは別の倉庫で保管されます。
倉庫にロットを搬入した後、協同組合からカッピング用のサンプルが提供されます。 
通常、100袋のロットで提供されます。
そこから、我々は協同組合の中にある、さまざまな農協のウォッシングステーションからコーヒーを選別することができるのです。
農協と生産パートナーを選ぶ最も重要なポイントは、ロット分けの管理状態、システムの内容や透明性がどのように行われているかを特に重視しています。

コーヒーはECXを通して販売されている個人経営のウォッシングステーションから届いた数百ものサンプルをカッピングし、厳選した後に選ばれたグレード1のコーヒーです。
現時点で、ECXは個人経営のウォッシングステーションからのコーヒーの追跡可能性を制限しています。 
生産 / 輸出許可書を取得している農協や農家(地主)のみ追跡可能な商品としてコーヒーの販売と輸出が認められています。
しかし、グレード1のコーヒーは地方、エリアごとにECXで等級分けされるので、それによってECXのコーヒーの中に低品質で風味が乏しいコーヒーはほとんど見られません。
また、我々は商品、処理、選別に関して、また小規模農家がいくら支払われているか、(その日のチェリー価格を基準に支払われる)そして品質が良い豆を生産するために生産者がどれくらいの力を注いでいるかを把握しています。


ECXのコーヒーとサプライチェーン


家族経営の小規模農家は収穫した少量のコーヒーチェリーをコレクションサイト(市場)、もしくは直接ウォッシングステーションのどちらかに販売できます。
農家は農協または個人の精製業者からより高値で購入するウォッシングステーションを自由に選んで取引することができます。
生産者はその日の相場により決定した価格を元に支払いを受けます。
競争が激しい場合、個人の精製業者(ウォッシングステーション)は、農家を引きつけるために市場価格を上回るプレミアムを常に支払っています。

ウォッシングステーションはグレード1&2などの高級な豆を生産する為に、フローテーションやスクリーニングを行い、また手作業による欠点豆の除去など、徹底した選別を行っています。
水源の時期や状況により、ウォッシュド、もしくはナチュラル精製で処理されます。
ウェットミルは地域のECX取引所にドライパーチメントを届け、そこで豆は等級分けされます。物理的な品質の差やフレーバープロファイルによりグレード1〜5に分けられます。
ECXを通して販売される前に、生産地と品質のラベルが付けられます。
輸出業者は等級、生産された地域により、具体的にどのようなものを購入するのかを予定します。

一般的にYirgacheffe Kochere のグレード1が一番多く取引されています。
一定の時期にグレード1のコーヒー豆を提供している生産者は限定されている場合がほとんどです。
また輸出業者はその時期にどの生産者のコーヒーが購入可能かの情報を得ています。
コーヒーは天候や需要供給などの様々な要素により変動する最低価格でECXを通して輸出業者に販売されます。
輸出業者に購入されたロットは地元の倉庫から輸出業者が指定する倉庫に移されます。

コーヒーは取引成立後、輸出業者はバイヤー(私たちが購入している業者)にサンプルを提供します。
通常100種類のロットで提供されます。
提供されたサンプルを基に、様々な輸出業者や地域からのコーヒーを選別し、私たちが求める特定のプロファイルを見つけます。
グレード1にこだわる輸出業者もいれば、最高級品質やスペシャリティマーケットを専門としている輸出業者もいます。
ロット分けの管理状態やシステムの内容、透明性が輸出業者を選ぶ最も重要な要素になってきます。

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