コーヒーの美味しさをつくるもの
今回は普段なかなかお伝えしていない、コーヒーの生産国を訪れた際の話を少しだけ詳しく書かせていただきます。
私たちが取引するコーヒーの生産国は主に、コロンビア、ホンジュラス、エルサルバドル、ブラジル、ケニア、エチオピア、ウガンダです。
国ごとに言語や文化、治安等も大変異なり、ヴァケーションで遊びに行くのとは違った緊張感を毎回感じています。
この文章はニュースレターに登録していただいている方にまず読んでいただくために書きました。
皆様の中にはすでに、私たちのコーヒーを飲んだ事がある方や、バックナンバーを読まれている方も多くいらっしゃると思います。
専門的な用語も少なからず出てきますが、ニュースレター会員の皆様にはお馴染みの用語ばかりなので、ご理解いただけると思います。
エチオピア
私たちフグレンコーヒーロースターズは、コーヒーの生豆を購入し、ロースター(焙煎工場)で焙煎して、皆さまにお届けしています。
ロースターの貯蔵庫にはいつも、焙煎前の生豆が保管されていますが、その生豆はどのようなサプライチェーンを通り抜けて届けられているのか。
そこにはたくさんの人たちが関わり、その人たちの真面目な仕事の積み重ねに支えられています。
エチオピアにはほぼ毎年行っています。
通常11月または12月の収穫全盛期に合わせて一週間くらい滞在します。
エチオピアのコーヒーは主に、小規模の生産者が少しずつコーヒーの果実を、最寄のWashing stationに持ちよって生成されます。
そのため、コーヒーの名称はほとんどがWashing stationの名前を使います。
「コンプライアンス」
私たちが仕入れるコーヒー豆は、風味や質の良し悪しの判断だけに限らず、生産に関わる自然環境や働く人への配慮、賃金等も滞りなく十分に支払われているかなど、コンプライアンス面も高い審査基準に基づきます。
また、例えば子供たちが昼間から手伝っているように見えて、実は無給で働かされていたりなど、実際に違法ではないかもしれませんが、社会にとって良い事ではない事に手を貸さないよう慎重です。
そのような情報は、販売店からはなかなか聞く事ができないので、実際に産地に行って、自分の目で確かめなければなりません。
「旅の始まり」
まず降り立つのはエチオピアの首都、アディスアベバのボーレ国際空港。
できるだけ前日に到着し、次の日から始まる過酷な旅に備えるため、十分に体を休ませます。
出発の日、現地のエージェントと車に乗り込み、目的地に向かうため、長いドライブが始まります。
アディスアベバから南の都市Dillaまで、天候が良くスムーズに行けば6時間。
車はできるだけ良いもの(トヨタ・ランクルなど)を借りています。
Dillaには安全で快適な宿泊施設があり、そこを拠点に何泊かしながら、毎日違うエリアを、時間の許す限り廻ります。
私たちが購入しているコーヒーが生成されるWashing stationはもちろん、良さそうな噂があれば積極的に新しいStationやエリアに足を運び、常にたくさんの情報を収集するよう心がけます。
「Washing Station訪問」
働いている方のほとんどは英語が通じないので、エージェントに同行する通訳を通して、会話をします。
どのStationにも工場長のようなマネージャー(ほとんどが男性)がおり、彼が全体の流れを把握しているので、いろいろな質問をします。
今年の稼働状況や気候条件、今アフリカンベットの上にあるのはいつ収穫され、乾燥工程の何日目なのか。事細かくチェックします。
また、フェルメンテーション(発酵工程)中のパーチメントの匂いをかぎ、実際に触れて、各工程が適切に行われているのか、五感を使って確認します。
そのコーヒーが美味しくなるかどうかは、Stationの作業の丁寧さが反映されるのです。
「気候変動」
近年、エチオピアでは気候変動が激しくなっており、特に予期せぬ降雨に悩まされるケースが増えています。
発酵工程でパーチメントに付着したミューシレージを除去し、洗浄した後、アフリカンベッドの上で水分量が12%以下になるまで天日干しで乾燥させます。
当然、雨が降れば大変な事になります。
通常は二週間程度で乾燥が完了しますが、断続的な雨がそれを狂わせ、最悪の場合、品質も低下させてしまうこともあります。
また、乾燥工程が長期化すれば、次のパーチメントを乾燥させる場所がなくなりますので、天候とは常に戦いです。
皆様には常に美味しいコーヒーを届ける事が私たちの務めでありますが、生産者がいくら頑張っても、天候には勝てません。
必ずしも美味しいコーヒーを作るための条件が、毎回揃うとは限らないのです。
それでもエチオピアは、コーヒーの原産国ということもあり、とても丈夫な品種に恵まれ、フローラルで、力強く、また同時に優しい甘さも併せ持つ素晴らしいコーヒーを生み出しています。
長くなりましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
少し空けて、次の後編は買付け編です。
実際にコーヒーをどの様に決定し、購入に至るのかをご紹介していきます。
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