オリジントリップ - ホンジュラス2019 前編 -

オリジントリップ - ホンジュラス2019 前編 -

4月 08, 2019

中南米、グアテマラとニカラグアに挟まれ、南西にエルサルバドルを隣国に持つホンジュラス。
今回の経路は、日本からヒューストンで乗り換え約17時間、ホンジュラスのやや南に位置する首都テグシガルパに先ずは向かい、そこから車で西へ3時間行き、目的地マルカラに到着します。

毎年マルカラに来る理由は、El Pantanalの生産者、マリザベル・キャバレロとモイセス・エレーラ夫妻(通称キャバレロ)を訪ねるためですが、今回は他の新しい生産者のコーヒーもカッピングして、そのあと農園も見にいきました。

産地に来てカッピングする時は、キャバレロのようなカッピング施設を有している農園ではない場合、周辺の小規模の生産者のコーヒーを集めて買い手を探すエージェントのラボで、多くのコーヒーをカッピングすることがほとんどです。

 

この日もロニーというエージェントのラボでIntibuca 周辺の34種類のコーヒーをカッピングしました。
産地でのカッピングは、ロースターや、コーヒーショップで行うカッピングと基本的に同じように行いますが、味の取り方などは違います。
まず、コーヒーが精製の完了から間もないので、風味がわかりづらいものが多く、それは開いていないと表現されたり、風味や質感がラフだったりします。
また、ローストも自分が飲み慣れている深さではなかったり、水質や、グラインドサイズ、温度なども完全ではない場合があります。
そのような環境で、コーヒーの品質や風味を見極め、日本に到着して一杯のコーヒーになった時の美味しさを予想(完全には不可能ですが)して、慎重に評価し選定します。

次の日、このカッピングでとても気に入った生産者の農園にいきました。購入するかは未定なので、詳しくは書きませんが、標高約1730mに位置する家族経営のとても小さい農園でした。
栽培する品種はBourbon, Catuai, Catimor, Lempira

IntibucaエリアはNelson RamirezなどのSanta Barbaraエリアとは全く違う気候で、とても乾いた土地でした。周辺には松の木が多く見られます。
松の木は酸を生成するため、コーヒーには石灰質を混ぜた肥料と土を与えていました。

ホンジュラスのコーヒーの栽培エリアは主に西部にあり、大きく3つの異なる気候に分けられます。
Santa Barbara
などの北部は、とても湿った気候です。
南部のIntibucaLa Pazはとても乾いた気候、そしてその中間は乾燥と湿った空気が混ざった気候です。
私たちはMario Moreno, Nelson RamirezSanta Barbaraの北部エリアとMarysabel & MoisesLa Pazの南部エリアとでコーヒーを購入しているので、それぞれのエリアと気候の違いによる風味を楽しめると思います。

 

ここで今年のEl Pantanal について少し書いておきましょう。
今年の農園の状況は品質面から見てかなり好調です。
マリザベル曰く、今年は必要な時に、適した量の雨が降ったと喜んでいました。

 

El Pantanal Catuai 健康的な葉

 

El Pantanal区画の底の部分から見たコーヒーの木

 

Pantanalは湿地と言う意味を持ち、冬になると特に水が溜まりぬかるみました。
当初はコーヒーを栽培する前は不向きだと言われていましたが、今では素晴らしいコーヒーを栽培しています。

 

真ん中の白い木立の左がEl Pantanal。その右側からTimのJava種を栽培する区画Amazonas

 

 

コーヒーの栽培環境も良好ですが、一番の変化はウェットミル(精製施設)でのプロセスです。
去年までは発酵工程後に、エチオピアなどでよく見られるウォッシングチャネルでパーチメントを洗いながら、さらに重さにより豆を選別していましたが、今年からはそれを一切使用せず、この写真のマシンによりパーチメントの洗浄をしています。これにより、かなり多くの水を節約することが出来るようになりました。

コーヒーの精製において、そのプロセスに使用する排水は周辺の環境を汚染してしまうので、そのまま流さずに、段階的にろ過してから排水しなければなりません。どれほどの農園が排水に関して、徹底した対応をしているかはわかりませんが、ここでは排水をできるだけ出さないことに努力し、排水のろ過も徹底しています。

では、重さによる選別をしない場合、フローター(未熟な軽い豆)の除去はどうするのか?

さらに二つの工程を入れることによって、可能にしています。

 

このマシンで、重さによる選別を行う。

 

さらにこの日本製のマシンで、色による識別を行う。

 

これらは機械の投資費用も莫大で、工程そのものの時間がかかりますが、より的確に選別ができ、さらに多くの排水のカットオフにも繋がりますので、これこそおいしいコーヒーと、環境負荷を軽減する理想的な投資と言えます。

そしてその投資資金は、このコーヒーを飲むことに支払われたお金から来ています。

 

Drying process Manager: Wilfredo Flores (Will) & El Pantanal

 

このようにして作られたコーヒーは、生産者とその周辺環境と、消費者の両方を幸せにする事を目標にして、これからも発展していくのだと思います。

後編は4月に訪れるSanta Barbaraの後にお伝えします。