2012年にオープンし、去る5月10日に6周年を迎えたFUGLEN TOKYO。
今回はオープン初期からのスタッフであり、FUGLEN TOKYOマネージャーの高橋圭也に「働き始めた当時のこと」や「コーヒー観の変化」、「今後の展望」についてインタビューしました。
- あっという間に6年が経ちましたね。いつから働きはじめましたか? -
2012年11月からです。
オープンしてわりとすぐ、たしか7月頃に初めてお店にきました。
当時のフグレンはノルウェーのロースターからコーヒー豆を仕入れていて、その時飲んだTim WendelboeのNdumberi(ケニア)エアロプレスがショッキングな体験でした。
ちょうどコーヒー屋巡りをしていた時期で、コワモテの賢治さんとヤスオさん(現 TRUNK COFFEE BAR オーナー)の二人がお店に立ってて、「この店怖すぎるだろ..」っていうのがダブルでショッキングでした(笑)
初めて賢治さんと会って話したときに、「君にとってエスプレッソって何なの?」って聞かれたんですよ。
そんなこと聞かれるとは思ってもいなくて、なんとか絞り出して必死で答えたんですが、賢治さんから「うちの考え方とは違うね」って一掃されたこともありますが(笑)
それからも、フグレンに行って話をする為にコーヒーの勉強して、当時は特別なコーヒーを飲む感覚でだいたい月に1回のペースで通ってました。
がっつりライトローストのお店も当時は少なかったのでフグレンが学びの場でした。
※オープン初期の落ち着いた午前中の風景
- 働くことになったきっかけは何ですか? -
当時フグレンで働いてたスタッフの方から、「うちの小島が話したい」って言われて、何かと思ってお店にいったら「君のこと雇おうと思うんだけど、どう?」って聞かれまして(笑)
それで、「よろしくお願いします!」って即答してスタートしました。
当時はフグレンがオープンしてまだ半年くらいの頃だったので、まだ静かな時間帯も多く、最初はレジを覚えながら、営業中に抽出の検証したり、カッピングしていました。
同時期に、BRUTUSのコーヒー特集にFUGLEN TOKYOをトップで取り上げてもらって、それから「エアロプレスください!」っていうオーダーが続いてたんですよ。
まだエアロプレスが未知の器具だったから、お客さんほぼ全員にエアロプレスの説明をしてました。
- コーヒーに限らずフグレンの雰囲気は独特だと言われることがあります。 接客のコンセプトはありますか? -
働き始めた時にオスロの上司から聞かされたことで、フグレンには「大事な友達を自分の家にもてなす」ように接するっていう考え方があって、当時それに深く共感し、今でも大切にしています。
人と人との会話になるように。
2016年の1月に研修として1ヶ月、オスロのフグレンで働いたんですが、スタッフとお客さんとの距離がまさにそんな感じでした。
一日に3回もくる常連の方がいたり、お客さん自体が自然体でしたね。
スタッフは「来てくれてありがとう」と言うし、お客さんは「作ってくれてありがとう」と伝えてくれる。
その関係性がよかったです。
- 最近抽出で意識していることや、理想的なカップはありますか? -
コーヒーをはじめた頃はケニアの派手さに衝撃をうけて、だんだんエチオピアのフローラルできれいなフレーバーにも惹かれるようになりました。
その中で、自家焙煎に切り替わってわりとすぐの頃に飲んだ、コロンビアのBuesaco Microlot #2は衝撃的でした。
コーヒーって甘いんだっていう感覚がしっかりわかったんですよ。
フグレンが3周年の日にちょうどBuesaco Espressoを提供したんですが、オレンジそのもののように甘くて、余韻が長い、ホントに美味しかったです。
ブエサコはコロンビアのトリマ県にある小さな町なんですが、その後賢治さんから移住したいほどいい町だって聞いて、行ってみたくなりました。
エスプレッソで言うと、飲み終わってお店を出て、しばらく時間が立ってからでもまだ甘い余韻が続いていくような、アフターテイストが長いカップを目指しています。
液体として濃度が濃いわけじゃないけど、口当たりがスムースでフレーバーがコンプレックスなカップも自分の理想ですね。
あとはカプチーノも好きです。エスプレッソ単体ではわかりづらいフレーバーも、ミルクに合わせてカプチーノにすると相乗効果が生まれたり。
今使ってるNelson Ramirezはエスプレッソで飲むとプラムのような印象があるけど、ミルクと合わせると焼き菓子のような甘さを感じられたりするところが好きです。
- 仕事のなかで意識していることは何ですか? -
コーヒーでも、サービス面でも「想像力」が大事だと思っています。
例えば、お客さんから「酸味がないコーヒーが飲みたい」と言われた時に、全く酸がないものを求めているのか、むしろしっかりヒアリングをした上で、フルーツ感たっぷりのケニアのコーヒーを飲んでもらった方がいいのか。
今までどんなコーヒーの体験をしてきて、何を求めてお店にきてくれたのか。
どんな体験を提供できれば喜んでもらえるか、会話をはじめとしたやり取りの中から想像することを心がけています。
お客さん自身がまだ言葉にできていないニーズも感じ取って、それに応えられたらと思っています。
それは一緒にカウンターに立つスタッフに対して思いやる気持ちも含まれるし、仕事の運び方として展開を想像する力の意味でもあります。
- マネージャーとしてどんなお店づくりを目指していますか? -
「すべての人にとっていい時間になる」ようなお店づくりをしていきたいです。
例えば、コーヒーを注文するために待ってくれているとき、レジでコーヒーを選んでいるとき、コーヒーを飲んでいる時間からお店を出た後も、それぞれの人のそれぞれの時間がいいものであってもらいたい。
いつものコーヒーをゆっくり飲みたい人も、旅の目的地として来てくれた人も、どんな人のどんな目的でもいい時間を過ごして、心地のいい余韻が長くつづくようであってもらいたいと思っています。
- ありがとうございました。 7年目のFUGLEN TOKYOをよろしくお願いします! -
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