メルシー・フェルナンデス / ペルー

このイエローゲイシャ種は、パナマゲイシャのような強い個性や華やかさはないものの、ゲイシャ由来のクリーンで透明感のある明瞭なフレーバーを楽しめます。レモングラスやカモミールなどのハーバルな印象から、ストーンフルーツや柑橘、ほのかにトロピカルフルーツの印象も感じられます。強く主張していないからこそ、温度の変化によって様々な表情がゆらいで感じられる奥行きのあるコーヒーです。

このコーヒーはMerci Fernandez（以下メルシー）のLa Pomarrosa農園で栽培されています。その名の通りチェリーは熟すと黄色く色づき、果肉はほのかに花の香りが漂うトロピカルフルーツのような甘さでした。ちょうど開花の時期に訪れていたため、農園は甘いコーヒーの花の香りに溢れていました。

私たちとメルシーの出会いは、昨年ペルーを初めて訪れた時でした。彼女の家族が栽培するコーヒーは以前にも買い付けたことがありましたが、生産者本人に会えたのは2024年の秋が初めてでした。

Peru訪問中、Origin Coffee Lab（OCL）を拠点にさまざまな生産者を紹介してもらいました。メルシーはOCLのメンバーとしても働いており、滞在中の買付カッピングでは生産者・エクスポーター両方の視点から色鮮やかな表現でコーヒーを評価し、多くの学びを与えてくれました。とてもチャーミングで人当たりのよい彼女は、コーヒーもさることながらその人柄もとても魅力的でした。

メルシーはLa PomarrosaとEl Fadenorという二つの農園を管理し、主にブルボン種を栽培しています。ゲイシャ種やSL9などの希少品種も少量栽培しており、私たちは彼女の兄Yonal Fernandezのコーヒーも買い付けています。家族全員がコーヒー生産に従事し、それぞれが農園を管理しつつ協力してブレンドロットも作成しています。収穫量に応じて個別ロットまたはFernandez Familiaという家族ブレンドとして販売しています。

メルシーは若い生産者で、両親の農園経営を子供の頃から見て育ちました。家族農園を手伝いながら「農畜産業」の学位を取得し、学術と実践両面での教育が持続可能で高品質なコーヒー生産の基盤となっています。100%オーガニック農法で栽培し、持続的生産にも注力しています。

彼女にとってコーヒーとはと尋ねると「coffee is a world full of opportunities and constant innovation.」と答えてくれました。