Hermides Meneses / Colombia

Hermides Meneses / Colombia

10月 19, 2025

エルミデス・メネセス / コロンビア

Flavor profile:
Blood orange, Prune, Lychee, Black tea, Nuts.
ブラッドオレンジやプルーン、ライチの果実感。ブラックティーやナッツの風味。

生産国: Colombia (コロンビア)生産者: Hermides Meneses (エルミデス・メネセス)農園: La Esperanza (ラ・エスペランサ)産地: Huila (ウイラ) > Tarqui (タルキ) > El Triunfo (エル・トリウンフォ)品種: Pink Bourbon (ピンクブルボン)精製方法: Extended Fermentation Washed標高: 1,950 masl収穫時期: 2025

 

今年4月、私たちはコロンビアの伝統的なウォッシュド精製で作られたコーヒーだけを対象とする「CWCF(Colombia Washed Coffee Festival)」に参加するため、コロンビアへ向かいました。このコンペティションは、コロンビアのエクスポーターFairfield Trading社と日本のSYU・HA・RIが共同で主催する、ウォッシュドコーヒー専門の品評会です。

Fairfield Tradingの代表であるAlejandro Renjifo(アレハンドロ・レンヒフォ)氏は、コロンビア独特の気候特性を深く理解し、クラシックなウォッシュドプロセスにこだわり続けています。雨季と乾季が複雑に入り混じるこの地では、ナチュラルやハニープロセスといった乾燥工程に時間を要する精製方法では、安定した品質を保つことが困難だからです。CWCFは、コミュニティ全体の品質向上を願うアレハンドロ氏の想いによって昨年から始まった、伝統的な手法で丁寧に精製されたウォッシュドコーヒーにスポットライトを当てる意義深い取り組みです。

毎日自然と口にしたくなるような澄んだ味わいと、鮮やかでありながら身体に馴染む果実味——これこそが、ウォッシュド精製ならではの美しさだと私たちは考えています。コーヒーにおける品質とは、決して風味の派手さだけで測れるものではないのです。

南米コロンビアのウイラ県タルキ市にある山間の村で、エルミデス・メネセスさんが小さなコーヒー農園を営んでいます。農園の名前は「ラ・エスペランサ」。スペイン語で「希望」という意味です。この名前には、メネセス家の夢と努力が込められています。

メネセスさんの家は二代にわたってコーヒーを作ってきましたが、実は彼自身は長い間、果樹栽培をしていました。しかし5年前、コーヒーには将来性があり、国内外の市場で特別な地位を占める作物だと確信し、コーヒー作りに専念する決意をしたのです。今では、このコーヒーが家族の生計を支える大切な存在となっています。

農園があるのは、標高1,950メートルの高地。平均気温17度という涼しい気候のセラニア・デ・ミナス山脈は、コーヒー栽培に最適な環境です。1ヘクタール(サッカーコート約1.5面分)の農園全体で、「ピンクブルボン」という特別な品種だけを育てています。この品種は地域のコーヒー農家たちに相談して選びました。カップに注いだ時の素晴らしい風味の可能性があり、この土地の条件にぴったり合うからです。

メネセスさんは従来の栽培方法を採用し、常に農園を見回って状態をチェックし、害虫は手作業で取り除いています。肥料は、コーヒーの木が必要とする時期に合わせて4か月ごとに与えます。このような丁寧な管理により、年間25袋の乾燥パーチメント(コーヒー豆を薄い殻で包んだ状態)を安定して収穫できるようになりました。一粒一粒が家族の努力を表すよう、常に心がけているそうです。

収穫したコーヒーの実は、すぐには加工しません。まず12時間そのまま寝かせてから、水を使わずに果肉を取り除きます。その後、蓋をしたプラスチック容器の中で最大70時間(約3日間)発酵させます。この工程により、コーヒーの特性がより良く保たれるのです。発酵が終わったら一度洗い、袋に入れて12時間寝かせます。各工程の後は必ず設備を洗浄し、すべてを清潔に保っています。

乾燥は「トラック型」と呼ばれる屋根付きの乾燥棚で行います。20日から30日かけて、水分量が10.5%になるまでじっくり乾燥させます。この乾燥工程は、豆の耐久性と保存性を高めるために欠かせません。乾燥後は保護袋と麻袋で二重に包んで保管し、壁から離したパレットの上に15日間置いて、品質を安定させてから出荷します。

メネセスさんの特徴は、湿った状態のコーヒーを決して販売しないことです。必ず乾燥パーチメントの状態まで仕上げることで、製品により多くの価値を加えています。

2025年のコロンビア・ウォッシュドコーヒー・フェスティバル(伝統的なウォッシュドコーヒーだけを評価する品評会)では、メネセスさんが出品した320キロのピンクブルボンが、47の出品の中で第7位に入賞しました。4,336,766ペソ(約17万円)のプレミアム価格がつき、総額12,131,324ペソ(約48万円)で取引されました。このコーヒーは日本で販売され、メネセスさんは大きな満足を得ています。

収穫の時期には2人の臨時労働者を雇い、他の市から来る人には宿泊施設も提供しています。メネセスさんと家族は政府の社会保障プログラムSISBENに加入し、教育と医療のサービスを受けながら、2024年からFFTコロンビアという会社の倉庫にコーヒーを納品しています。

「ラ・エスペランサ=希望」という農園名が示すように、メネセスさんは家族の夢を背負いながら、世界に認められる高品質なコーヒーの生産に情熱を注ぎ続けています。 



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