Román Nuñez Pastrana / Colombia

Román Nuñez Pastrana / Colombia

8月 17, 2026

Román Nuñez Pastrana / コロンビア

Flavour;
Passion fruit, Hassaku orange, Prune, Nuts.
パッションフルーツや八朔、プルーンの果実味と甘さ、ナッツの余韻。

生産国: Colombia ( コロンビア )
生産者 : Román Nuñez Pastrana(ロマン・ヌニェス・パストラナ)
農園:  La Esperanza (ラ・エスペランサ  )
産地  : Huila >Tarqui > Vereda Tablón de Bélgica
品種:  Colombia (コロンビア)
精製方法: Washed ( ウォッシュト )
標高: 1,700 masl
収穫時期: 2025

ロマン・ヌニェスさんがコーヒーの仕事を始めたのは12歳のときです。両親の農園を手伝うところからでした。15歳で学校をやめ、そのとき両親から最初の区画を譲り受けています。フィンカ・ロス・セドロスの一角で、植わっていたのはコロンビア種が100本。17歳になった年に、もうひとつの区画ラ・エスペランサが加わりました。今のロマンさんの農園は、この二つでできています。

農園にはロマンさんと奥さん、息子さんの3人が暮らして働いています。ほかに通年で2人、収穫のピークには最大10人のピッカーが加わるそうです。目標を聞かれて答えたのは、家族として毎日良くなっていくこと、学び続けること、というシンプルなものでした。

ロマンさんのコーヒーは、コロンビアのエクスポーター Fairfield Trading(FFT)を通じて私たちに届きます。創業者のアレハンドロ・レンヒフォさんは、コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)や国際コーヒー機関(ICO)で長く経済分析の仕事をしたのち、2002年にこの会社を始めた人です。扱うのはウォッシュトだけ。コロンビアは雨季と乾季が複雑に入り混じるので、乾燥に時間のかかるナチュラルやハニーでは品質が安定しにくい、という考えによるものだそうです。

FFTは日本のインポーターSYU・HA・RIさんと共同で、「Colombia Washed Coffee Festival(CWCF)」という品評会を開いています。集まったロットをブラインドでカッピングし、上位には通常の買取価格にプレミアムを上乗せして支払う。基準に届かなかった生産者にも品質のフィードバックを返して、翌年の再挑戦につなげる仕組みです。このプレミアムが乾燥場の屋根やウォッシングステーションといった設備に回っていく循環が、生産者たちの品質向上を支えていきます。FUGLENではこれまでも、カリーナ・アンドレア・クラロスさんやアレクシス・グアルニーゾさん、ネイデル・クリオージョさんなど、FFTを通じて出会った生産者のコーヒーを紹介してきました。

ウイラ県は、栽培面積でも生産量でもコロンビア最大のコーヒー産地です。栽培面積はおよそ15万ヘクタール、国内の収穫量のおよそ2割をこの県が占めています。タルキはその中南部にある自治体で、中央山脈とマグダレナ川の左岸に挟まれています。町そのものは標高796メートル、平均気温25度。コーヒーの畑よりずいぶん低く、暖かい土地です。コーヒーが育つのは、そこから山へ上がった斜面のほうになります。

この土地が面白いのは、二つの空気が交わるところです。マグダレナ川の渓谷から上がってくる暖かい空気と、セラニア・デ・ラス・ミナスから下りてくる冷たく湿った空気。そのあいだで、チェリーはゆっくり時間をかけて熟していきます。セラニア・デ・ラス・ミナスは中央山脈から直角に枝分かれした山塊で、最高峰はおよそ2,700メートル。原生の山地林が残っていて、バードライフ・インターナショナルが重要野鳥生息地(IBA)に指定しています。

ロマンさんの二つの区画は、ベレダ・タブロン・デ・ベルヒカにあります。タルキの中西部にあたる集落で、平均の標高は1,500メートルほど。そのなかでラ・エスペランサが1,700メートル、精製設備のあるロス・セドロスが1,555メートルと、同じ農園と呼んでいる土地のなかにおよそ150メートルの高低差があります。この集落には、私たちが2025年から扱っているネイデル・クリオジョさんの農園ラ・ビルヒニアもあります。農園のそばには、ケブラーダ・ラ・チキータという小川が流れているとのことです。

ラ・エスペランサとロス・セドロス。書類のうえでは別の区画ですが、ロマンさんは二つをまとめて「自分の農園」と呼んでいるそうです。合わせて3ヘクタール。植わっているのはコロンビア、カスティージョ、セニカフェ1の3品種で、セドロ(スパニッシュ・シダー)、ノガル、オレンジといったシェードツリーの下で育てられています。ラ・エスペランサは、協同組合のアンブレラ認証というかたちで、FLO(フェアトレード)とレインフォレスト・アライアンスの認証に含まれています。

農園には、森林を保全する区域と、生きものが移動できる回廊が残されています。リサイクル、廃棄物の管理、既存の森の保全、植林。ロマンさんの環境計画は今も続いているものだと聞いています。セラニア・デ・ラス・ミナスは東の端のほうで森の分断が進んでいると報告されている山塊なので、こうした区画が残っていることには、土地の側の事情もあるのだと思います。

今回買い付けたのは、ラ・エスペランサで収穫されたコロンビア種です。

ロマンさんの畑にある3品種は、どれもコロンビアの国立コーヒー研究センター、セニカフェが育てたものです。親も同じで、カトゥーラとティモールハイブリッドの掛け合わせ。さび病に強いコーヒーを作るための系統です。違うのは生まれた年で、コロンビアが1980年代のはじめ、カスティージョが2005年、セニカフェ1が2016年。40年ぶんの育種が、ひとつの畑に並んで植わっています。

そのなかで今回のロットになったのは、いちばん古いコロンビア種でした。ロマンさんが15歳のときに受け取った100本と同じ品種です。粒の揃いは新しい品種のほうが上ですが、それでもタルキの生産者たちがコロンビア種を選び続けているのは、収量と味の両面でこの土地に合っていると考えているからだそうです。

精製は、水の使い方が少し変わっています。

まず、受け入れのときに水槽での比重選別(フロート)をしません。摘みたての完熟チェリーを、そのままプラスチックのタンクに入れて24時間おきます。果肉が付いたままの状態での発酵です。コロンビアでは脱果肉の前にチェリーのまま寝かせるやり方が広く行われていて、時間は12時間から24時間くらいが一般的だと言われています。

24時間たったら、水を加えずにパルピングします。ここで多くの生産者が次に行うのは、ミューシレージを付けたままもう一度発酵させる工程ですが、ロマンさんはそれをしません。代わりに使うのがデスムシラヒナドールという機械です。残っているミューシレージの層を削り取るのと、コーヒーを洗うのを、一度の通過でまとめて済ませてしまう。使う水はごくわずかで足ります。発酵はぜんぶチェリーの中で終わらせて、あとは機械で一気に洗い切ります。

この種の機械はセニカフェが長く普及に取り組んできたもので、乾燥パーチメント1キロあたり1リットル未満の水で処理でき、精製で出る汚染負荷を9割以上抑えられると報告されています。ロマンさんがこの機械を選んだ理由は二つあると聞いています。ひとつは水の消費量がほとんどないこと。もうひとつは、精製で出た排水が環境に流す有機物の量を減らせることです。

そのあと、パーチメントは12メートル×8メートルの高床式のマルケシーナへ移されます。天気が許す日には、屋根のない屋外のパティオも使うそうです。乾燥にかかるのは15日から25日。乾き上がったあとも8日間そのまま保管して、水分値を落ち着かせてから出荷されます。



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