Rubiela Velasquez / Colombia
Papaya, Grape, Apple, White sugar.
パパイヤやブドウ、リンゴの果実味、上白糖の甘さ。
生産国: Colombia ( コロンビア )
生産者 : Rubiela Velásquez (ルビエラ ・ベラスケス)
農園: La Esmeralda (ラ エスメラルダ)
産地 : Tolima ( トリマ ) > Planadas (プラナダス) > San Ishidro (サン・イシドロ)
品種: Castillo (カスティージョ)
精製方法: Washed ( ウォッシュト )
標高: 1900 - 2000 m a.s.l
収穫時期: 2025
トリマ県プラナダスの町から南へ、直線でおよそ5〜6キロ。サン・イシドロという集落の山手に、ルビエラ・ベラスケスさんの農園ラ・エスメラルダはあります。最寄りの道路からは歩いて2時間。馬かラバでしか行けない場所だそうです。標高は1,900〜2,000メートルで、プラナダスでコーヒーが作られている平均的な標高1,300〜1,700メートルよりも、かなり高い場所で、彼女はコーヒーを栽培しています。
ルビエラさんは、夫のビテルモ・オルドニェスさんと一緒に、1994年からこの土地を耕してきました。彼女はコーヒー農家の家に生まれた三代目で、若い頃は叔父の農園で日雇いの仕事をしていたそうです。そこから二人でサン・イシドロの土地を手に入れ、家族を養うための畑を、少しずつ今の農園に育ててきました。
現在農園の面積は7ヘクタール。いまは夫婦と子どもたちで農園を営んでいます。

エスメラルダ農園では、カスティージョとカスティージョ・タンボ、ティピカ、カトゥーラ、ゲイシャが栽培されています。標高2,000メートルの区画にゲイシャを根付かせるのには4年かかったそうです。最初のカッピングは思うような結果にならず、発酵の時間を品種に合わせて変えたり、天候に応じて工程を細かく調整したりを繰り返して、ようやく形になったと聞いています。そのゲイシャは、2025年のColombia Washed Coffee Festivalで4位に入り、このエントリーを書いている1週間前の2026年同コンペティションでは見事1位を獲得しました。
ルビエラさんのコーヒーは、コロンビアのエクスポーター Fairfield Trading(FFT)を通じて私たちに届きます。創業者のアレハンドロ・レンヒフォさんは、コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)や国際コーヒー機関(ICO)で長く経済分析の仕事をしたのち、2002年にこの会社を始めた人です。扱うのはウォッシュトだけ。コロンビアは雨季と乾季が複雑に入り混じるので、乾燥に時間のかかるナチュラルやハニーでは品質が安定しにくい、という考えによるものです。
FFTは日本のインポーターSYU・HA・RIさんと共同で、「Colombia Washed Coffee Festival(CWCF)」という品評会を2024年から開いています。集まったロットをブラインドでカッピングし、上位には通常の買取価格にプレミアムを上乗せして支払う。基準に届かなかった生産者にも品質のフィードバックを返して、翌年の再挑戦につなげる仕組みです。私たちも2025年度の開催には審査委員として参加しました。ルビエラさんはアレハンドロさんと長く一緒に仕事をしてきた生産者のひとりで、授賞式に出るために夫婦で2日がかりの旅をしたこともあるそうです。
農園で日雇い労働者として働いていた彼女が夫とコーヒー農園を設立するということは、生産国では珍しく、非常に困難な道のりだそうです。また、インフラが整備されていない土地から二日間もかけてコンペシティションに審査員として参加するその姿勢からも、彼女たちの勤勉さと挑戦を怠らない強い意志を感じる、とアレハンドロさんは話しています。

プラナダスは、トリマ県の南の端にある自治体です。町の標高は1,450メートルで、県都イバゲからは231キロ。年間の降水量はおよそ1,780ミリで、12月から2月が乾季、3月から5月が雨季にあたります。自治体の西から南西にかけては、コロンビア最高峰のネバド・デル・ウイラ(5,364メートル)を中心とする国立公園が広がっていて、市域の7〜8割が保護区です。コーヒーは残りの東側の斜面に集まっていて、栽培面積はトリマ県で最大、農家はおよそ7,000世帯と言われています。私たちが2017年からコーヒーを買い付けているアストリッド・メディナさんの農園ブエナビスタも、同じプラナダスにあります。
今回お届けするのは、ラ・エスメラルダのカスティージョ、ウォッシュトです。収穫は2025年7月。プラナダスのメインクロップは4月から6月と言われているので、標高の高いこの農園では、その終わりのほうにあたるのだと思います。
カスティージョは、コロンビアの国立コーヒー研究センター、セニカフェが2005年に発表した品種です。カトゥーラとティモールハイブリッドの掛け合わせで、さび病に強いコーヒーを作るために23年かけて育種されました。ひとつの系統ではなく、性質の近い複数の系統を混ぜた品種で、翌2006年には地域ごとに系統の組み合わせを変えた7つの地域版も出ています。ルビエラさんの畑にもあるカスティージョ・タンボはそのひとつで、カウカ県エル・タンボの試験場で選ばれた7系統から成り、セニカフェの資料では推奨地域のなかにプラナダスの名前が挙がっています。

エスメラルダ農園での精製は、チェリーを寝かせる(レスト)ところから始まります。
完熟したチェリーだけを選別しながら慎重に摘んだチェリーは、すぐには果肉を外さず1〜2日ほどそのまま置きます。
それからパルパーを使い果肉を除去して、タンクで25〜40時間発酵させます。その後3回ほど綺麗な水で洗いを行い、その後は屋根付きの乾燥棚に広げて、15日から30日かけて乾かします。
パパイヤやブドウなどのみずみずしい果実の印象を持ちながら、コーヒーそのもののバランスは穏やかで軽めのボディからお茶のようにするすると飲み進めてしまうコーヒーです。鼻腔に抜けるハーバルな香りが、エキゾチックな印象をコーヒーに与えています。