生産国:Kenya ( ケニア)
農協: Kiawanduma Farmers Cooperative Society(キアワンドゥマ生産者組合)
ファクトリー : Kiawanduma Factory ( キアワンドゥマ・ファクトリー)
生産者 : 657の小規模農家
産地:Muranga (ムランガ)
品種:SL-28,SL-34, Batian, Ruiru 11
精製方法:Washed
標高:1600 - 1800 m a.s.l
収穫時期: 2024 - 2025
2年ぶりのKiawanduma factoryから今回はABグレードのリリースです。
2年前に飲んだ時は、ケニアらしい鮮やかな果実味が感じられつつも、甘さや質感と調和のあるバランスの取れた印象でしたが、今年のロットにも同じような雰囲気を感じます。
柑橘系やストーンフルーツのような果実味がジワジワと口の中に広がっていき、ジューシーな印象ですが、後口の黒糖のような落ち着いた甘さが液体を支えていて、まとまりがあります。仄かに白い花ような華やかな香りが漂い、ABらしい繊細さも併せ持っています。
Kiawandumaという名前は、キクユ語 ( ケニアに住むキクユ族の言葉 ) で、「アローヘッド (クズウコン)という澱粉の取れる植物が植えられている場所」を意味しているそうです。この協同組合はもともと、Kangimaと呼ばれる別の協同組合の一部であったファクトリーでしたが、独立してKiawandumaという協同組合になりました。
この組合に所属する小規模農家は、コーヒーの木の有機肥料として、コーヒー豆の精製段階で除去した果肉を廃棄せずに堆肥として再利用しています。
【収穫〜精製まで】
ケニアは2つの収穫期があり、メインクロップは10月から12月にかけて収穫され、フライクロップは5月から7月にかけて収穫されます。私たちはいつもメインクロップから買い付けを行っています。
メインクロップの場合、花が2月から3月にかけて咲き、コーヒー豆は翌年の1月から4月にかけて購入可能になります。私たちがケニアを訪れた2月下旬は、メインクロップの収穫や精製を終えた買い付けのハイシーズンでした。
農家は熟したチェリーを全て手作業で収穫し、ファクトリーに持ち込みます。
到着時、選別のための小屋でシートの上にチェリーを広げ、さらに手作業で適正に熟したチェリーとそうでないチェリーをファクトリーの基準に合わせて選別します。ファクトリーには受付係のようなスタッフがいて、正しく選別が行われているかを確認するために立ち会います。
熟したチェリーだけが選別され、パルパーと呼ばれるマシーンに投入されます。このマシーンはパーチメントを覆う果皮を取り除くための機械です。マシーンを通過したコーヒー豆は、パーチメントという豆を保護する殻に覆われた状態になります。
パーチメントは密度に応じて3段階に選別され、グレード1とグレード2だけが後述する精製工程に進みます。
密度の低いグレード3は低品質と見なされ、国内消費に回されます。
この時点で、パーチメントは「ミューシレージ」と呼ばれる、自然由来の糖分とアルコールで構成された粘着性のある液体で覆われています。このミューシレージがコーヒーの甘さや酸味、総合的な風味に大きな影響を与えています。
ミューシレージに包まれたパーチメントは、発酵タンクに入れられ、16〜24時間かけてじっくりと発酵させます。ここで使用されるタンクは水を入れていないもので、発酵はチェリーや環境中の微生物がミューシレージを分解することによって行われます。
タンク内での発酵が終了すると、パーチメントは再び綺麗な水で洗われ、ウォッシングチャンネルを通ってさらに比重選別されます。チャンネルを通過したパーチメントは綺麗な水が貼られたタンクに16〜18時間漬けて置かれます。この工程がコーヒーの酸味の質を向上させ、クリーンなカップにつながると考えられています。
その後、乾燥の準備が整ったら、スキンドライベッドというメッシュが張られたベッドに移して、6時間〜場合によっては一日かけて規定の水分値まで乾燥させます。
前の工程で洗ったばかりなので、パーチメントは50%くらいの水分を含んでいます。このベッドでは20%程度になるまで乾燥させます。
規定の水分値まで乾燥したら、アフリカンベッドと呼ばれる高床式の乾燥台に運ばれ、最大21日間ほどかけてゆっくりと乾燥させます。アフリカンベッドに広げられたコーヒーは、日中の日差しが強い時間帯と夜間はビニールシートをかけて保護されます。