
Fazenda Jaguara(ファゼンダ・ジャグアラ)ができたのは 2001 年です。Antonio Wander(アントニオ・ワンデル)さん、Rubem Carlos(フーベン・カルロス)さん、Rubem Murilo(フーベン・ムリーロ)さんという三人の友人が、ミナスジェライス州のカンポ・ダス・ヴェルテンテスに最初のコーヒーの木を植えたところから始まりました。ジャグアラという名前は、この土地に暮らすキロンボーラ(Quilombola)のコミュニティからもらったものです。
三人はもともと農学と研究の畑にいた人たちで、始めたときから、作りながら学んでいくような農園でした。畑での育て方、まわりの環境、収穫したあとの手のかけ方が、最後のカップにどう表れるのか。それが知りたくてコーヒーを作り始めています。2013 年、アントニオさんは農園を André Luiz Garcia(アンドレ・ルイス・ガルシア)さんと Natália Brito(ナタリア・ブリト)さんに引き継ぎました。二人はそこから、新しい作り方を試しながら、まわりの自然をできるだけ傷めないやり方で農園を続けています。


この一家は代々、コーヒーを作る仕事と、それを研究する仕事の両方をやってきました。アントニオさんのおじいさんにあたる Alexander Capelo Garcia(アレシャンドレ・カペロ・ガルシア)さんは、小さなコーヒー生産者。アントニオさん自身はブラジルのコーヒー研究機関(IBC)の農学者で、土の肥沃度と栄養が専門でした。コーヒーを知ること、作ることに生涯を使ってきた人だそうです。
農園があるのは、州都ベロオリゾンチから南へ 200km ほど、サン・ジョアン・デル・レイという街のすぐそばです。金の採掘で知られた、植民地時代のブラジルではとても大きな存在だった街で、もともとコーヒーを作る土地ではありませんでした。ブラジルにしては山がちで標高もあるので、あとから植えたコーヒーの木がこの土地によく合ったそうです。
カンポ・ダス・ヴェルテンテスは、ブラジルの産地としては標高が高いほうではありません。そのなかでジャグアラは 1,040m と、地域では高いところにあります。ヴェルテンテスは「分水嶺」という意味で、二つの大きな水系のあいだにあるおかげで土が豊かなのだと言われています。甘さがあってボディがまとまっていて、チョコレートやナッツを思わせる。産地としては、そういう評価をされている土地です。

ナタリアさんは2代目の生産者で、自分で輸出会社Jaguaraも経営しています。もともとは量で売る市場(コモディティ市場)にいた人です。自分たちのコーヒーはもっとちゃんと評価されるはずだと考えて、まわりの小さな生産者を誘って、味で選ばれる市場のほうへ移ってきました。作った人が、売る先まで自分で選ぶ。カッピングも自分でやるので、カップで感じたことがそのまま次の年の作り方に返っていきます。ジャグアラの面白いところは、そこだと思っています。ブラジルのスペシャルティのコミュニティでもよく動いていて、各地の生産者を訪ねては知識を交換している、と聞いています。
アンドレさんは農学者で、専門は剪定です。どの枝を落とすか、木にどこまで日を入れるか。地味な作業ですが、実の熟れ方が変わるので、最後のカップにちゃんと効いてきます。植えているのはイエローブルボンやムンド・ノーヴォといった、ブラジルで昔から使われてきた品種ばかり。珍しい品種で驚かせるのではなく、日々の手入れの積み重ねで質を上げていくタイプの農園です。
二人がよく言うのは、品質は観察と実験から生まれる、ということ。毎年の収穫で何かひとつ学べるはずだと思って畑に出ているそうです。作りながら学ぶ農園として始まって、そこは 2001 年から変わっていません。
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